○池田町ハラスメントの防止等に関する条例

令和6年12月13日

条例第14号

職場におけるハラスメントは、被害者の能力発揮を著しく制限するにとどまらず、当事者相互の信頼関係を破壊し、組織全体の円滑な業務遂行を阻害して、ひいては行政サービスの低下による町民への不利益をもたらしかねない重大な人権侵害行為である。

このような問題を発生させないためには、社会的規範に従い、ハラスメントに関する知識を深め、ハラスメントの防止に取り組むことで、良好な職場環境を確立しなければならない。

いずれも全体の奉仕者である町の職員、町長等及び議員は、本町の職場におけるハラスメントを防止し、健全で風通しの良い職場環境を確立することを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、職場におけるハラスメント防止のための措置及びハラスメントに起因する問題への適切な対応を行うことにより、ハラスメントの発生しない環境を作り、全ての職員等がお互いの人権を尊重することで、もってそれぞれの能力を発揮することができる良好な職場環境を確立することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員(同法第22条の2第1項に規定する会計年度任用職員、同法第22条の3第4項に規定する臨時的任用職員及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律(平成14年法律第48号)の規定に基づき任期を定めて採用された職員を含む。)で、本町の業務に従事するものをいう。

(2) 管理監督者 地方公務員法第28条の2に規定する管理監督職にある職員をいう。

(3) 町長等 町長、副町長及び教育長をいう。

(4) 議長 池田町議会議長をいう。

(5) 議員 池田町議会議員をいう。

(6) ハラスメント 次のからまでに定める行為の総称をいう。

 セクシュアル・ハラスメント 職場において行われる次に掲げるものをいう。

(ア) 性的な事実関係を尋ねるもの

(イ) 性的な内容の情報を意図的に流布するもの

(ウ) 性的な内容の発言及び性的な関係を強要するもの

(エ) 必要なく他人の身体に触れるもの

(オ) わいせつな図画を配布し又は掲示するもの

(カ) (ア)から(オ)までに掲げるもののほか、性的な言動により職員個人としての人格及び尊厳を不当に傷つけ、就業環境を害するもの

 パワー・ハラスメント 職場において行われる次に掲げるものをいう。

(ア) 優位にある職員(職務において上位にある職員のほか、知識、能力等において優れている職員を含む。)の侮辱的な言動又は乱暴な言動(暴行、暴言(風説の流布を含む。)その他本来業務を達成する目的の範囲を超えて人格及び尊厳を侵害する言動をいう。)により、職員の就業環境が害され、又は職員を身体的若しくは精神的に傷つけるもの

(イ) 正当な理由なく勤務条件に不利益を与える行為により雇用不安を与えるもの

(ウ) 職員の能力の発揮を阻害するほどの叱責又は指導により、職員の就労意欲を極端に低下させるもの

(エ) 不要な業務、合理性のない業務、遂行が不可能な業務その他正当な理由のない業務を命ずるもの

(オ) (ア)から(エ)までに掲げるもののほか、優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、職場環境が害されるもの

 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント 職場において行われる次に掲げるものをいう。

(ア) 妊娠又は出産をしたこと、妊娠又は出産に起因する症状により勤務することができないこと若しくはできなかったこと又は能率が低下したこと、不妊治療を受けること等に関する言動により勤務環境が害されること。

(イ) 妊娠、出産、育児又は介護に関する制度又は措置の利用に関する言動により勤務環境が害されること。

 その他のハラスメント からまでに掲げるもののほか、誹謗、中傷、風評等により人権を侵害し、又は不快にさせる行為をいう。

(7) 職場 職員がその職務を遂行する場所(出張先その他職員が通常業務を遂行する場所以外で実質的に職場と同視すべき場所等を含む。)をいう。

(町長等の責務)

第3条 町長は、職員がその能力を十分に発揮できる職場環境を確保するため、職員に対しハラスメントの防止に関する研修等の周知啓発を行い、ハラスメントに対応する相談、調査、審議等に関する体制を整備するとともに、ハラスメントに起因して職員の職場環境が害され、又は職員に不利益が生じた場合は、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

2 副町長は、町長を補佐して、前項に規定する措置等をともに実施しなければならない。

3 教育長は、教育行政の運営において、この条例の目的を実現するよう、その職務を遂行しなければならない。

(議長の責務)

第4条 議長は、議員がその能力を十分に発揮して活動できる環境を確保するため、議員に対するハラスメントの防止に努めるとともに、ハラスメントに起因して議員が活動できる環境を害され、又は議員に不利益が生じた場合は、ハラスメントを受けた議員に配慮しつつ、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

(議員の責務)

第5条 議員は、町民の代表者として、町政に携わる権能及び責務を自覚するとともに、常に高い倫理観を持ち、ハラスメントの防止に努めなければならない。

(管理監督者の責務)

第6条 管理監督者は、職員の育成及び能力開発が責務であることに留意するとともに、職場におけるハラスメントの防止に努めなければならない。

2 管理監督者は、ハラスメントに起因する問題が生じた場合においては、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

3 管理監督者は、苦情等の申出、調査への協力その他のハラスメントに対する当該職員の対応に起因して、当該職員が職場において不利益を受けることがないように配慮しなければならない。

(職員の責務)

第7条 職員は、他の職員に対し、職務遂行上の対等なパートナーとして互いの人権を尊重しなければならない。

2 職員のうち、係長職その他の職員を監督する立場にある者は、職場におけるハラスメントの防止に努めるとともに、ハラスメントに起因する問題が生じた場合においては、管理監督者とともに必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

(職員に対する指針)

第8条 町長は、ハラスメントを無くすために職員が認識及び遵守すべき事項並びにハラスメントに起因する問題が生じた場合において、職員に行うべき対応等について指針(以下「指針」という。)を定め、周知徹底を図るものとする。

(ハラスメントの禁止)

第9条 町長等、議員、職員その他本町に勤務する全ての者は、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、人権侵害に当たることを理解し、他者に対しハラスメントを行ってはならない。

2 前項の規定は、町の各機関を役務の提供先とする労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第2号に掲げる派遣労働者、町の各機関と業務委託契約その他の契約を締結している事業等に従事する労働者及び企業、団体等から派遣されている行政実務研修員に対する関係においても、同様とする。

(相談等の申出等の手続)

第10条 職場におけるハラスメントを受けた又は目撃し、若しくは把握した職員は、総務課又は総務課が設置する相談員若しくは次条に規定する第三者相談窓口に対し、ハラスメントの相談及び苦情を書面、口頭又はこれに準じた手段により申し出ること(以下「申出」という。)ができる。

2 申出は、現実にハラスメント事案が発生した場合に限らず、その発生のおそれがある場合にも行うことができる。

3 ハラスメントを受けた職員が心身の故障等により入院していることその他特別の事情により申し出ることができない場合は、当該職員の同僚又は上司等で当該ハラスメントの事実関係を認識している者が申出をすることができる。

4 町長は、申出に対し、指針に基づき、当事者、関係職員等への聴き取り等、事実確認等の調査を行い、適正に対処しなければならない。この場合において、申出に係る事案の当事者が町長等又は議員とされているときは、当該調査の結果について、第12条に規定する委員会の意見を聴いた上で、必要な措置を行わなければならない。

5 前項の場合において、申出に係る事案の当事者が議員とされているときは、当該申出について議長に報告し、協力して調査を行わなければならない。

6 申出に係る事案の当事者が町長とされている場合、この条例の規定による権限の行使は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第152条の規定に準じて副町長等がその職務を代理する。

7 申出に係る事案の当事者が議長とされている場合、この条例の規定による権限の行使は、地方自治法第106条の規定に準じて副議長が、議長及び副議長が共に当事者となったときは、地方自治法第107条の規定に準じて年長の議員が、その職務を代理する。

(第三者相談窓口)

第11条 町長は、申出に対応し、その円滑かつ公正な解決を図るため、町と利害関係にない外部の第三者によるハラスメント相談窓口(以下「第三者相談窓口」という。)を開設する。

2 第三者相談窓口の相談員は、ハラスメント事案に係る専門的知識を有する者から、必要な者を選任するものとする。

3 第三者相談窓口は、次の業務を担当するものとする。

(1) 申出を受けること。

(2) 申出があった案件について、専門的見地から適切な助言等を行うこと。

(3) 申出者の了承を得た上で、事実確認のための調査等、問題解決のための必要な措置を総務課長に要請すること。

(ハラスメント第三者調査委員会)

第12条 町長は、第10条第4項後段に規定する申出及び町長が必要と認める申出に関し、適切な処理及び解決について審議するため、ハラスメント第三者調査委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

2 委員会は、前項の申出に関する事実認定について調査審議し、町長及び議長に報告するものとする。

3 委員会は、町及び当事者と利害関係にない外部機関の推薦により選任する有識者等の委員5名以内をもって組織する。

4 委員会の委員は、公平かつ公正にその職務を遂行しなければならない。

5 委員会は、調査審議に当たり、必要に応じて町長等、議員、職員その他申出に関係する者(以下この項において「関係者」という。)に対して聴取することができる。また、委員会は、書類、物件その他の証拠を関係者に対して求めることができる。

6 委員会は、申出に係るハラスメントが悪質又は緊急を要すると判断した場合は、原因究明及び再発防止のための措置に関し、町長に意見を述べることができる。

(プライバシーの保護及び秘密の保持)

第13条 第三者相談窓口の相談員、委員会の委員その他申出に関する業務に携わる職員は、ハラスメントの当事者及び関係者のプライバシーに十分配慮し、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(不利益取扱いの禁止)

第14条 町長等、職員又は議員は、ハラスメントに関する相談等を申し出たことを理由として、当該職員に対し不利益な取扱いをしてはならない。

(対応措置)

第15条 町長及び議長は、事実関係の公正な調査によりハラスメントの事実が確認された場合は、次の各号に掲げる行為者に対し、それぞれ必要に応じて当該各号に定める措置を行うことができる。

(1) 町長等及び議員 公表

(2) 職員 地方公務員法第29条の規定による懲戒処分等

(研修等)

第16条 町長は、ハラスメントの防止等を図るため、町長等及び職員(執行機関等の職員を含む。)に対し必要な研修等を実施しなければならない。

2 議長は、ハラスメントの防止等を図るため、議員に対し必要な研修等を実施しなければならない。

(委任)

第17条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則等で定める。

この条例は、公布の日から施行する。

池田町ハラスメントの防止等に関する条例

令和6年12月13日 条例第14号

(令和6年12月13日施行)